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成田空港の再会 〜別れがあるから、また出会える〜

第四章 バイクとJAPAN全国津々浦々

「旅とは、再び巡り会うための別れである。」— マルセル・プルースト


大洗磯前神社での別れから、数ヶ月が経った。俺は諏訪大社の巫女の言葉に導かれるまま成田空港に来ている。もちろん相棒のハーレーと一緒に。


彼女は世界一周の旅へ、俺は日本を巡る旅を続けていた。
選んだ道は違えど、心のどこかで彼女のことを思い出すことがあった。

そんなある日、成田空港の国際ターミナルでの用事を終え、搭乗ロビーを歩いていると、
見覚えのある長い髪が風に揺れていた

「まさか……。」

まるで導かれるように近づくと、彼女がそこにいた。

「久しぶりだな。」

驚いた表情を見せた彼女だったが、すぐに微笑んだ。

「あなたこそ。日本一周の旅は順調?」

互いの近況を語り合いながら、気づけば長い時間が過ぎていた。

彼女のDUCATIは今、ヨーロッパのガレージにあるという。
本当なら、彼女はそのまま旅を続けていたはずだった。

「……親が、急に倒れて。」

彼女は静かに言った。

「それで、しばらく日本に戻っていたの。」

「……そうだったのか。」

「幸い、大事には至らなかったわ。でも、今度はちゃんと見送らなくちゃいけない。」

そう言って、彼女は旅支度を整えたスーツケースを見つめた。
彼女は、また旅に戻る。
そして、俺は——

「せっかくだし、もう少し話さないか?」

「うん……成田空港のホテルに泊まる予定だったんだけど、一緒にどう?」


滑走路を見下ろすホテルで、束の間の休息

チェックインしたのは**「成田空港内のANAクラウンプラザホテル」**。
部屋に入ると、大きな窓から成田の滑走路が一望できた。

「夜の空港って、なんだか旅心をくすぐるよな。」

「うん。どこかへ飛び立ちたくなるね。」

ふたり並んでソファに腰を下ろし、これまでの旅の話を語り合った。
彼女はヨーロッパを巡り、知らない景色に出会い続けているらしい。
俺は俺で、日本の各地を走り、その土地ならではの風や匂いを感じていた。

「お前、本当に世界を駆け抜けてるんだな。」

「あなたも、日本のすべてを知ろうとしてるでしょ?」

窓の外では、飛行機が静かに滑走路を移動していく。
まるで、それぞれの道を歩む俺たちの姿を映しているようだった。

「ねぇ。」

彼女がふと、俺の肩にもたれかかる。

「今日くらいは、余計なこと考えずにいよう。」

俺は少し驚いたが、何も言わずに彼女の頭を支えた。

今だけは、時間が止まればいいと思った。


夜明けの別れ、そして次の旅へ

気づけば、窓の向こうに朝焼けが広がっていた。

「そろそろ、行かないと。」

彼女はスーツケースの横に置いたヘルメットを手に取る。
俺も、彼女の旅立ちを見送るため、部屋を出た。

ロビーまでの短いエレベーターの中、互いに何も言わなかった。
言葉にしなくても、分かることがある。

「また、どこかで会えるといいな。」

彼女が微笑んで言った。

「おう。その時は、一緒に走るか。」

「約束よ。」

搭乗ゲートへ向かう彼女を見送り、俺は駐車場へ向かう。
エンジンをかけると、相棒のハーレーが静かに呟いた。

「……寂しくないのか?」

「いや……また、どこかで会う気がする。」

相棒はエンジンを吹かした。

「フッ……そうかよ。」

俺もアクセルをひねり、朝焼けの千葉の道を走り出した。

旅は続く。
そして、出会いと別れが繰り返される限り——

また、どこかで巡り会う日が来るのだろう。

第四章 完

著者プロフィール

ようこそ、俺と相棒の奇妙な旅へ
エンジンをかければ、旅が始まる。
でも、俺の相棒はただのハーレーじゃない。
しゃべる。しかも、めちゃくちゃよくしゃべる。

「今日はどこへ行く?」
「その前に、俺のオイル交換はどうなった?」
「お前、また無計画に走ろうとしてるだろ?」

…うるさいけど、憎めない。
こいつと旅をしていると、ただの道も、ただの景色も、いつもとは違って見える。
自由気ままな俺と、口うるさいハーレーの奇妙な旅。
絶景、古き良き町並み、気まぐれな寄り道、そして時々起こるちょっと不思議な出来事。

📍 目的地はなし。行きたい場所に行くだけ。
🏍 二人(?)で風を切る。
🎭 笑えて、考えさせられる、そんな旅の記録。

「さあ、今日はどこへ行く?」
「お前がちゃんと計画を立ててるならな。」

さて、どうなることやら。

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第四章 バイクとJAPAN全国津々浦々
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