
「強さとは、力だけでなく、魂の鼓動に宿るものだ。」
「おい、今日はどこへ行く?」
エンジンをかけると、相棒のハーレーが低く唸る。
「**神奈川県・仙石原(せんごくはら)**だ。」
「仙石原?あのススキが広がる草原か?」
「そうだ。平家の亡霊に言われた”西へ向かえ”の導きに従うなら、まずは仙石原を見に行くべきだろう。」
「フッ…でも、それだけじゃねぇんだろ?」
「まぁな。どうやら、”ある伝説の人物”が俺たちを待ってるらしい。」
相棒は軽くエンジンを鳴らした。
「伝説の人物ねぇ…面白くなってきたな。」
俺たちはアクセルをひねり、黄金の草原へと走り出した。
仙石原ススキ草原、黄金の道

関東を抜け、箱根の山を越えていく。
仙石原へ向かう道は、静かな森の中を通るワインディングロードだ。
「おい、なんか空気が澄んでるな。」
「箱根は火山のエネルギーがあるからな。土地全体が独特の雰囲気を持ってる。」
峠を抜けると、視界が一気に開けた。
そこに広がるのは、黄金色に輝くススキの草原。
「おいおい…こりゃ圧巻だな。」
「だろ?秋には特に美しいが、この景色はいつ見ても別格だ。」
バイクを停め、ススキの草原を眺める。
すると――
ドスン…ドスン…
「おい…なんか地響きがしねぇか?」
「……何かが近づいてる。」
俺たちは振り向いた。
すると、ススキの奥から一人の男が現れた。
金太郎、降臨

「おぉ!お前が噂のバイク乗りか!」
目の前に立っていたのは、赤い腹掛けをつけた屈強な男。
その胸には、はっきりと”金”の文字が刻まれていた。
「……まさか、お前…金太郎か?」
「そのまさかよ!俺は金太郎、山の強者(つわもの)として名を馳せた男だ!」
「なんでお前がここに?」
「そんなことはどうでもいい!お前のバイク、なかなかいい鼓動をしてるじゃねぇか!」
金太郎は相棒のハーレーをまじまじと見つめる。
「ミルウォーキーエイト、107Ci…なかなかのトルクだな。」
「おいおい、エンジンスペックまで知ってるのかよ。」
「当たり前だ!俺は強い奴とは相撲を取る主義なんだ!」
金太郎は腕をぶんぶん回しながら言った。
「さぁ、どっちが強いか勝負だ!」
「おいおい…まさか、”俺”じゃなくて”ハーレー”と相撲するのか?」
「当然だ!お前のバイクがどれだけの力を持ってるか、確かめてやる!」
俺は思わず吹き出しそうになったが、相棒は真剣だった。
「……上等だ。」
「おいおい、本気か?」
「俺の鼓動が、どんな相手にも負けるわけねぇだろ?」
「フッ…いいぜ。やってやろうじゃねぇか。」
107Ci vs 金太郎、激闘

金太郎と相棒は向かい合った。
「どっちが強いか、三番勝負だ!」
「いいだろう。」
俺はバイクのギアをニュートラルに入れ、リアタイヤをロック。
エンジンを吹かし、準備万端だ。
「はっけよーい、のこった!」
金太郎ががっしりとハーレーのハンドルを掴む!
「うおおおおおっ!!」
「ブオオオオオオッ!!!」
107Ciのトルクと、伝説の怪力が激突する!
土が舞い、ススキが揺れる!
「こりゃ…互角か!?」
一進一退の攻防が続くが、ハーレーが徐々に押し返し始める!
「チッ…こいつ、馬力だけじゃねぇ…魂がある!!」
「フッ…当たり前だろ?」
そして――
「どすこーーーい!!!」
ついに金太郎が一歩後ずさる!!
「くっ…負けたか…!!」
偕楽園への導き

金太郎は息を整えながら、ニヤリと笑った。
「お前のバイク…ただの鉄の塊じゃねぇな。まるで生きてるみてぇだ。」
「まぁな。こいつは”ただの相棒”じゃねぇんだよ。」
「フッ…いい勝負だったぜ。」
金太郎は立ち上がり、俺を見た。
「次に行くべき場所を教えてやる。」
「どこだ?」
「**茨城・偕楽園(かいらくえん)**だ。」
「偕楽園…?」
「そこには、日本三名園に数えられる”梅の花”が咲く。
梅の香りを嗅ぎながら、お前の次の旅の道を考えるといい。」
俺は頷いた。
「……行ってみるか。」
エンジンをかけ、再び走り出す。
「おい、ハーレーと相撲取る奴なんて、もう出てこねぇよな?」
「フッ…どうだかな。」
風が吹く。
旅は続く。
次の目的地は、梅の花咲く偕楽園――。