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忍野八海ツーリング 〜水のごとく、旅を楽しめ〜

第二章 バイクと哲学

水は自ら進んで障害を避けず、それを包み込みながら流れていく。
だからこそ、どんな硬い岩もやがて穿つのだ。

— 老子

「ほぉ…深いな。」

バイクのメンテをしながら、ふとこの言葉を思い出す。
旅も同じだ。障害を避けず、受け入れながら進んでいけば、いつか道が開ける。

「なぁ、今日はどこを流すんだ?」
エンジンをかけた瞬間、相棒のハーレーが話しかけてくる。

「水の名所に行こうと思う。山梨の忍野八海だ。」
「おいおい、また渋い選択だな。俺、水には入れねぇぞ?」
「大丈夫だ。浸かるわけじゃなくて、見に行くだけだ。」
「ならいいけどよ。でも、道中に障害があっても避けんなよ?」
「水みたいに、包み込んで進んでいくさ。」

相棒がフッと笑うように、エンジンを軽く吹かす。
さて、今日も旅の始まりだ。


中央道を抜け、山梨へ

都内を抜け、中央道へと入る。
朝の澄んだ空気の中、高速道路を気持ちよく流す。

「おい、この道、開けてていいじゃねぇか。」
「中央道は適度なアップダウンとカーブがあって、楽しいんだよ。」
「確かに。ちょっとアクセル開けてもいいか?」
「ほどほどにな。」

談合坂SAで軽く休憩し、再び走り出す。
河口湖ICで高速を降り、富士山の姿がどんどん大きくなってくる。

「おい、あれを見ろよ。」
「富士山だな。」
「デケェなぁ…まるでラスボスみてぇだ。」
「確かにな。あれを背景に走れるのは、最高の贅沢だろ?」

富士山の圧倒的な存在感に見とれながら、忍野八海を目指す。


忍野八海の透明な世界

到着した忍野八海は、まるで異世界のような場所だった。
湧き水が作り出す八つの澄み切った池
まるでガラスのように透明で、水底の小石までくっきりと見える。

「おい、これ…やばいくらい綺麗だぞ。」
「だろ?水が湧き出してできた池だから、透明度が段違いなんだよ。」
「俺も一回くらいこんな風に洗われてみたいぜ。」
「お前はオイルまみれだからな…。」

水面をじっと見つめると、そこに映るのは富士山の姿。
風もなく、湖面に揺らぎがないからこそ、まるで別世界がそこに広がっているようだった。

「こんな静かな場所もいいな。」
「お前、たまには黙って景色を楽しむのも悪くないだろ?」
「まぁな…でも、そろそろ動きたくなってきたぜ。」

相棒はじっとしているのが苦手らしい。
まぁ、それは俺も同じだ。


トラブル発生!だが、俺たちは水だ

帰り道、国道138号を走っていると、いきなり雲行きが怪しくなる。
そして、ぽつりぽつりと落ちてくる雨粒。

「おいおい…なんだこれ?」
「どうやら雨雲に捕まったみたいだな。」
「俺、濡れるの嫌なんだけど?」
「水の名所を回ってきたんだから、ちょっとくらい付き合えよ。」

本降りになり、道がどんどん濡れていく。
しかし、ここで焦るのはバイク乗りとして素人だ。

「こういう時こそ、さっきの老子の言葉を思い出せ。」
「……?」
「水は障害を避けず、それを包み込んで進むんだ。」
「つまり?」
「焦らず、無理せず、ゆっくり進めばいい。」

俺は慎重にアクセルを操作し、相棒とともに滑らせるように走る。
雨の中でも、リズムを崩さず、道に逆らわないように。

「……なるほどな。水の流れみたいに走るってわけか。」
「そういうことだ。」

こうして、雨の中でも落ち着いて走ることで、無事に道の駅「富士吉田」までたどり着いた。


旅の締めくくり

道の駅で暖かいほうとうを食べ、冷えた体を温める。
窓の外を見ると、さっきの雨は嘘のように止んでいた。

「ほらな、避けずに受け入れて進めば、道は開けるんだよ。」
「…まぁ、結果オーライだな。」

相棒は不満げにエンジンを鳴らすが、どこか満足そうでもある。

「さぁ、帰るか。」
「おう、水みたいに、流れるように走るぜ。」

エンジンをかけ、再び道へ。
富士山を背に、俺たちは水のようにしなやかに走り続ける。

風が吹く限り、俺たちの旅は終わらない。

著者プロフィール

ようこそ、俺と相棒の奇妙な旅へ
エンジンをかければ、旅が始まる。
でも、俺の相棒はただのハーレーじゃない。
しゃべる。しかも、めちゃくちゃよくしゃべる。

「今日はどこへ行く?」
「その前に、俺のオイル交換はどうなった?」
「お前、また無計画に走ろうとしてるだろ?」

…うるさいけど、憎めない。
こいつと旅をしていると、ただの道も、ただの景色も、いつもとは違って見える。
自由気ままな俺と、口うるさいハーレーの奇妙な旅。
絶景、古き良き町並み、気まぐれな寄り道、そして時々起こるちょっと不思議な出来事。

📍 目的地はなし。行きたい場所に行くだけ。
🏍 二人(?)で風を切る。
🎭 笑えて、考えさせられる、そんな旅の記録。

「さあ、今日はどこへ行く?」
「お前がちゃんと計画を立ててるならな。」

さて、どうなることやら。

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第二章 バイクと哲学
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