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豊洲ナイトツーリング 〜夜景の中で交わる心〜

第二章 バイクと哲学

「愛とは、お互いを見つめ合うことではなく、共に同じ方向を見つめることである。」
— サン=テグジュペリ

「……フン、またロマンチックな言葉を持ち出してきたな。」

エンジンをかけた瞬間、相棒のハーレーが低く唸る。

「サン=テグジュペリの言葉だ。愛ってのはただ向き合うんじゃなく、同じ景色を見てることが大事ってことさ。」
「なるほどな…で、今日はどこへ走る?」
豊洲ぐるり公園だ。」
「都会の夜景か。昨日は富士山だったのに、今日はまた真逆の場所だな。」
「たまには都会の光も感じてみたくなったんだよ。」

俺はヘルメットを被り、静かにアクセルをひねる。
夜の街に溶け込むように、ハーレーの鼓動が響く。


ナイトツーリング、都会の光の中へ

首都高を走り抜け、レインボーブリッジへ向かう。
夜の高速道路はいつものツーリングとは違った雰囲気を醸し出す。

「おい、都会の風も悪くねぇな。」
「夜の道は静かで、昼とは別の表情をしてる。」
「お前、夜景を見に行くなんて、珍しくロマンチストじゃねぇか?」
「……まぁ、そんな気分なんだよ。」

レインボーブリッジを渡り、お台場を抜けて豊洲方面へ。
ビルの灯りが水面に反射し、まるで星空が地上に降りたように輝いている。

「おい、すげぇな。この景色。」
「都会の夜景も、悪くないだろ?」

目的地の豊洲ぐるり公園に到着し、バイクを停める。
海辺の静けさと、対岸に広がる高層ビル群の光。
それは、都会にいながらも、どこか別世界にいるような感覚を与えてくれる。


運命の再会

バイクを降り、夜景を眺めていると、不意にエンジン音が聞こえた。
聞き覚えのある、軽快な乾いたサウンド――

DUCATI。

振り返ると、黒いレザージャケットの美女がバイクを停め、こちらへ歩いてくる。

「……また会ったわね。」

「おいおい…これは偶然か?」

「それとも運命?」

彼女は小さく微笑みながら、俺の隣に立った。

「都会の夜景を見に来るなんて、意外ね。」

「たまにはな。でも、お前もか?」

「ええ。綺麗な景色を見ながら、何かを考えたくなる時ってあるでしょ?」

「……そうだな。」

二人並んで、静かに海を眺める。
対岸のビル群が水面に映り、光がゆらめいている。

「愛とは、お互いを見つめ合うことではなく、共に同じ方向を見つめることである。」

俺はふと、サン=テグジュペリの言葉を思い出す。
まさに今、俺たちは”同じ景色”を見つめている。


近づく距離、重なる想い

「ねぇ…もう少し近くで見ない?」

彼女がそっと俺の手を引く。
そのまま、公園の一番先端――海に最も近い場所へ。

静かな波の音。
都会の喧騒はここまで届かず、まるで二人だけの世界が広がっているようだった。

「お前とこうして会うの、もう三回目か。」

「ふふっ…もしかして、運命を感じちゃってる?」

「どうだろうな。でも、こうしてまた会ったってことは、何か意味があるのかもな。」

彼女は少しだけ、じっと俺を見つめる。
目が合った瞬間、俺の胸が少し高鳴る。

「……ねぇ、キスしてみる?」

突然の言葉に、俺は一瞬、言葉を失った。

「おいおい…唐突すぎねぇか?」

「……したくない?」

「……そういうわけじゃない。」

「なら……。」

彼女はゆっくりと、俺の顔に近づく。
俺も自然と、彼女の唇を意識し――

そして、静かにキスを交わした。


夜風に溶ける余韻

唇が離れたあと、彼女は微笑みながら言った。

「……また会える?」

「さぁな。でも、会えそうな気がする。」

「私も。」

そう言うと、彼女はDUCATIのもとへ戻り、ヘルメットをかぶる。
俺も静かにハーレーに跨る。

「……じゃあ、またどこかで。」

彼女は軽く手を挙げ、そのまま夜の道へと消えていった。

「おいおい…これは本当に運命かもな?」

相棒がぼそっと呟く。

「さぁな。でも、一つ確かなことがある。」

「なんだ?」

「夜景も悪くないが、”彼女の瞳”も、それ以上に美しかったってことだ。」

相棒は少しだけエンジンを吹かし、まるで笑ったように聞こえた。

エンジンをかけ、再び走り出す。

「愛とは、お互いを見つめ合うことではなく、共に同じ方向を見つめることである。」

俺たちはまた、どこかで再び出会うだろう。
運命がそうさせるのなら――

風が吹く限り、俺たちの旅は続く。

著者プロフィール

ようこそ、俺と相棒の奇妙な旅へ
エンジンをかければ、旅が始まる。
でも、俺の相棒はただのハーレーじゃない。
しゃべる。しかも、めちゃくちゃよくしゃべる。

「今日はどこへ行く?」
「その前に、俺のオイル交換はどうなった?」
「お前、また無計画に走ろうとしてるだろ?」

…うるさいけど、憎めない。
こいつと旅をしていると、ただの道も、ただの景色も、いつもとは違って見える。
自由気ままな俺と、口うるさいハーレーの奇妙な旅。
絶景、古き良き町並み、気まぐれな寄り道、そして時々起こるちょっと不思議な出来事。

📍 目的地はなし。行きたい場所に行くだけ。
🏍 二人(?)で風を切る。
🎭 笑えて、考えさせられる、そんな旅の記録。

「さあ、今日はどこへ行く?」
「お前がちゃんと計画を立ててるならな。」

さて、どうなることやら。

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第二章 バイクと哲学
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