
「心が変われば、世界も変わる。」
— マハトマ・ガンジー
「ほぉ…また考えさせる言葉じゃねぇか。」
エンジンをかけた瞬間、相棒のハーレーが低く唸る。
「心の持ちよう次第で、世界の見え方が変わるってことだ。」
「なるほどな。で、今日はどこへ走る?」
「茨城県・牛久大仏だ。」
「おいおい、今度は大仏かよ?最近、神とか仏とかにハマってねぇか?」
「まぁな。昨日は神の力をもらったし、今日は仏の力を少し分けてもらおうと思ってな。」
相棒は「フッ」と笑うようにエンジンを吹かした。
「まぁいいぜ。デカい仏様の前で、何が見えるのか試してみようじゃねぇか。」
牛久大仏への道

都内を抜け、常磐道を北上する。
空は晴れ渡り、ツーリングには最高のコンディションだ。
「おい、見えてきたぞ。」
前方に、巨大なシルエットが現れる。
まるで山のようにそびえ立つ、牛久大仏(高さ120m)。
「デカすぎるだろ…。」
「ギネス世界記録にも載ってる”世界一高い青銅製の大仏”だからな。」
「バイクもデカけりゃ偉いってもんじゃねぇが、この大仏は別格だな。」
牛久大仏の足元にバイクを停めると、その圧倒的な存在感に息をのむ。
「おい、これ本当に人間が作ったのか?」
「そうだな。でも、最初にこの大仏を造ろうと思った奴の”心”が変わったから、こうして形になったんだろ。」
「なるほどな…ガンジーの言葉が効いてくるぜ。」
大仏の前で己を見つめる

本堂へ向かい、手を合わせる。
「……。」
目を閉じ、深く呼吸する。
仏の前では、余計なことを考えるのがバカらしくなる。
ただ”今ここにいる”ことだけを感じる。
「おい、なんか静かすぎて落ち着かねぇな。」
「仏の前では、無駄に喋らなくていいんだよ。」
「……まぁ、たまにはこういう時間もアリか。」
牛久大仏の胎内に入り、静寂の中で歩く。
仏の力に包まれているような、不思議な感覚。
「おい、ちょっとだけ俺もパワーもらった気がするぜ?」
「そうだな…不思議と気持ちが整う。」
心が変われば、世界が変わる。
今日のツーリングは、ただの走りじゃない。
自分を見つめ直す時間だったのかもしれない。
帰路と、これからの旅

エンジンをかけ、再び道へ。
牛久大仏の巨大な背中を見送りながら、ふと思う。
「なぁ、俺たちの旅って、意味があると思うか?」
「意味なんて後からついてくるもんだろ?」
「……そうかもな。」
走ることで何かを感じ、何かを得る。
それが旅ってもんだ。
「さて、次はどこへ行く?」
「そうだな…次は”滝”でも見に行くか?」
「ほぉ…いいじゃねぇか。水の力も感じてみるか。」
風を切りながら、俺たちは次の目的地へ。
「心が変われば、世界も変わる。」
風が吹く限り、俺たちの旅は終わらない――。