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秋川渓谷ツーリング 〜急ぐな、しかし休むな〜

第二章 バイクと哲学

「急ぐな、しかし休むな。」
— ゲーテ

「おい、いい言葉じゃねぇか。」

エンジンをかけた瞬間、相棒のハーレーが渋く呟いた。

「何の話だ?」
「ゲーテの言葉だよ。『急ぐな、しかし休むな。』 旅にも、人生にも通じる言葉じゃねぇか?」
「珍しく真面目だな。」
「フン、まぁ俺もたまには深みのあるバイクにならねぇとな?」

そんな相棒とともに、今日は東京の西、秋川渓谷へ向かうことにした。
山と川に囲まれた、のどかなツーリングスポット。
ただし、今日はただののんびり旅じゃない。
途中、ちょっとした熱い展開も待っている。


奥多摩方面へ、ワインディングを抜けて

中央道を西へ流し、八王子を越え、秋川街道へと入る。
都会の喧騒が遠のき、道が次第に自然の色に染まっていく。

「おい、空気が変わったな。」
「山道に入ると一気に空気が澄むからな。」
「このままのんびりクルージングって感じか?」
「…まぁ、そうなるかどうかは分からないけどな。」

相棒が何か言いかけたその時――

「おい、あのバイク、何か挑発してきてねぇか?」

視線を前方に移すと、一台のスポーツバイクが俺たちをチラ見しながら加速していく。
後ろにはもう一台、同じようなスタイルのライダーが続く。

「ほぉ…これは、公道バトルってやつか?」
「さぁな。でも、こっちを試してるのは確かだ。」
「お前、どうする?」
「……急がない。でも、休まない。」

ゲーテの言葉を思い出しながら、俺はアクセルを少しだけ開けた。


公道バトル、開始!

前を行くスポーツバイク2台は、軽快にコーナーへ突っ込んでいく。
俺たちは少し後ろから様子を見ながら、ペースを合わせる。

「おい、ハーレーでついていくつもりか?」
「バトルは直線だけじゃないんだぜ。」

峠の下り、バイクの性能差は確かに大きい。
スポーツバイクのコーナリングスピードには敵わない。
だが、ハーレーにはハーレーの戦い方がある。

「おい、ここからが見せ場だぜ?」

俺はギアを落とし、トルクを活かして立ち上がりで加速する。
スポーツバイクがコーナーを抜ける間に、俺たちはストレートで距離を詰めていく。

「ハッ、まだまだ行けるな!」
「おう、ここからが本番だ。」

ワインディングを抜け、広い直線が目の前に広がる。

「ここだ!」

俺はアクセルを大きくひねり、相棒のパワーを解放する。
ハーレー特有の低音を響かせながら、一気にスロットルを開ける。

1台目のスポーツバイクを抜き、前にいたもう1台のライダーが驚いたように振り返る。

「おいおい、ハーレーでこんなに速ぇのかよ?」

相棒がニヤリと笑うようにエンジンを吹かす。

「急ぐな、しかし休むな、だ。」

俺は相棒とともに、加速の勢いそのままに先頭へと飛び出した。


秋川渓谷での休息

バトルが終わり、秋川渓谷の駐車場へ到着。
エンジンを切ると、さっきのスポーツバイクのライダーたちが近づいてきた。

「おい、ハーレーでここまで速いとは思わなかったぜ。」
「ただのクルーザーじゃねぇな、あんたの相棒。」
「フッ…まぁ、こいつはちょっと特別だからな。」

相棒は誇らしげにエンジンを鳴らした。

川の流れる音を聞きながら、俺たちはしばらくその場で語り合う。
ライダー同士、バトルの後には不思議な絆が生まれるものだ。

「さて、そろそろ行くか?」
「おう、でも急ぐなよ?」
「分かってるさ。ゲーテの言葉通り、休まず、でも無理せずにな。」

エンジンをかけ、再び走り出す。
秋川渓谷の緑の中を、水の流れのように、滑らかに。

「急ぐな、しかし休むな。」
俺たちはこれからも、走り続ける。

著者プロフィール

ようこそ、俺と相棒の奇妙な旅へ
エンジンをかければ、旅が始まる。
でも、俺の相棒はただのハーレーじゃない。
しゃべる。しかも、めちゃくちゃよくしゃべる。

「今日はどこへ行く?」
「その前に、俺のオイル交換はどうなった?」
「お前、また無計画に走ろうとしてるだろ?」

…うるさいけど、憎めない。
こいつと旅をしていると、ただの道も、ただの景色も、いつもとは違って見える。
自由気ままな俺と、口うるさいハーレーの奇妙な旅。
絶景、古き良き町並み、気まぐれな寄り道、そして時々起こるちょっと不思議な出来事。

📍 目的地はなし。行きたい場所に行くだけ。
🏍 二人(?)で風を切る。
🎭 笑えて、考えさせられる、そんな旅の記録。

「さあ、今日はどこへ行く?」
「お前がちゃんと計画を立ててるならな。」

さて、どうなることやら。

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第二章 バイクと哲学
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