前日は熱海ビーチラインを走り抜け、海と潮風を存分に味わった。
そして翌朝――
「今日はどこ行くんだ?」
相棒のハーレーが、エンジンをかける前から話しかけてきた。
「今日は山だ。相模湖を回る。」
「おいおい、昨日は海だったのに、今日は湖か?」
「たまには静かな道を走るのも悪くないだろ?」
「…ま、悪くはねぇな。」
そう言うと、相棒は満足そうに軽くエンジンを鳴らした。
鼓動が響く。さあ、今日も走るぞ。
中央道を駆け、相模湖へ

都内を抜け、中央道へ。
週末の朝、空は澄み渡り、走るには最高のコンディションだ。
「おい、この道、なかなか気持ちいいな。」
「中央道は緩やかなカーブが多いからな。流すにはちょうどいい。」
「アクセルをちょっと開けても、気持ちよく走れそうだな?」
「落ち着け。相模湖まではのんびり行くぞ。」
ほどよいペースで走りながら、八王子JCTを過ぎ、相模湖東ICで降りる。
そこからは、湖を囲むように続くワインディングロードだ。
湖畔を走る、静寂と鼓動

相模湖に到着すると、目の前には穏やかな水面が広がる。
昨日の相模湾とは違い、静けさに包まれた世界だ。
「ほぉ…これはこれでいいじゃねぇか。」
「湖の周りを走る道、なかなか気持ちいいぞ。」
「俺の鼓動が、湖に響いてるみたいだな。」
湖畔沿いの道は、ゆるやかなカーブと短い直線が続く。
木々の間を抜けるたびに、陽の光がチラチラと路面を照らす。
「昨日の海沿いとは全然違うな。」
「そうだろ?山と湖の道は、また別の良さがあるんだよ。」
「静かで、落ち着いてて…悪くねぇ。」
相棒はいつになく大人しい。
いつもは皮肉ばかり言うくせに、今日は素直に景色を楽しんでいるようだった。
湖畔の休憩、そして次へ

道の駅「相模湖」に立ち寄り、バイクを停める。
ベンチに腰掛け、湖を眺めながら缶コーヒーを開ける。
「お前だけ飲むのかよ?」
「バイクがコーヒー飲んだら、オイル漏れるだろ。」
「ちっ、たまには俺にもエネルギー補給させろよ。」
相棒は不満げだったが、エンジン音はどこか満足そうだった。
昨日は海、今日は湖――こうして違う景色を感じながら走るのが、ツーリングの醍醐味だ。
「さて、そろそろ行くか?」
「おう。で、次はどこ行くんだ?」
「このまま宮ヶ瀬ダムまで行こう。」
「おいおい、また湖かよ?」
「湖じゃなくて、今度はダムだ。」
「…まぁ、悪くねぇか。」
相棒のハーレーと俺の旅は続く。
海、湖、山――景色が変わるたびに、新しい発見がある。
エンジンをかけ、再び走り出す。
風が吹く限り、俺たちは止まらない。